2019/05/20 13:31
pH試験紙による比色検査は初めて、という方がほとんどだと思われます。
それが普通ですので、どうぞ安心してください。
では、急がば回れ。特許pHスティックを用いて初めてpHチェックをなされる方は、念のため一応、牛乳で正しい色の出し方と色の見方を練習してください。
どなたも格別の苦労をすることなく、意外なほど容易にpHスティックを使いこなしていただけるようになります。まず手始めに動いてない止水状態でのpHチェックを練習してみましょう。
検査材料として、身近にある市販の牛乳が好都合です。
どうしてかというと、牛乳はpH6.2~6.6の弱酸性ですので、酸性尿を出し続けておられる痛風・糖尿病患者の皆様や、ご愛犬・ご愛猫にアルカリ性の尿が出続けているため、ストラバイト形成による尿閉の恐怖に脅えておられる飼い主の皆様にとって、当面の目標である弱酸性尿(pH6.4±0.2)と同じpHだからです。
[1] 牛乳で練習 (正しい色の出し方)
①コップや皿などに市販の牛乳を少量注いでください。
牛乳は白濁しているので検査に不向きと思われるでしょうが、意外とそうでもありません。
②スティック先端に貼り付けたpH試験紙全体を素早く牛乳に漬け、直ちにサッと引き上げます。
牛乳に漬ける時間は、ほんの一瞬で充分です。
数秒間も漬けっぱなしにしていると、黄色く発色したpH指示薬が溶けて牛乳の中に流れ出てきます。
こうなるとpH試験紙が白っぽくなり、発色不良でpH値の比色判定ができません。
そうならないように、牛乳へ素早く漬けて素早く引き上げる。 これが大切なポイントです。
引き上げたpH試験紙の表面に牛乳がタップリと盛り上がるほど付いていると、 黄色く発色したpH試験紙が牛乳の白い膜に隠れて見えない場合もあります。
そのときは、下に向けたスティックの尻を人差し指でトンと軽く叩き、余分の牛乳を落としてください。
多少pH指示薬が溶出しはじめていても、数滴分くらいのロスなら、 ほとんど色調に影響しないので、そんなに気にしなくてもだいじょうぶです。
牛乳の付けすぎよりも、むしろ接触不足のほうが厄介です。
牛乳の濡らし方が足りないと、 発色したpH試験紙に色の濃い部分と薄い部分の発色ムラができてしまいがちです。
こうなると判定困難なので、もう一度、未使用のスティックでやりなおさなければなりません。
③pH試験紙は、パッと瞬間的に黄色っぽく発色します。 この色が正しいpH値となります。
pHスティックを素早く牛乳から引き上げたとき、すでにpH指示薬の発色反応は終わりかかっていて、pH試験紙全体が一様に黄色っぽく発色しています。
この色が正しいpH値となるので、比色表と見比べて判定します(市販の牛乳はpH6.2~6.6)。
ただし、pH試験紙の前縁約1mmは接着剤を付けた糊しろですので、この部分の色は無視。
また、寒いとpH指示薬の化学反応が遅くなりますので、一呼吸待ってから判定してください。
④pH試験紙が濡れている間は変色しませんから、慌てずに比色表の色と見比べてください。
ただし、吸液量や気温・湿度・風などによって乾燥速度が変動するので、なるべく3分間以内に判定してください。
ついでに、比色判定を済ませたスティックを捨てずに経過を観察し、pH試験紙の乾燥に伴って褪色する様子を確認しておきましょう。何分間くらい当初の色調が持続しましたか?
ずいぶん長持ちするので、きっとビックリされるはずです。
なお、pH試験紙を湿気の多い場所や日当たりの良い場所に放置すると性能が劣化しますから、防湿袋に入れた特許pHスティックは冷暗所に保管し、なるべく早く使いきってください。
※もしも、尿のpH値が納得できないほどおかしい、変だなあと思われましたら、品質劣化を疑うよりも先ず牛乳チェックをお願いします(牛乳に漬けて黄色っぽく発色すれば劣化してない)。
※また、牛乳の代わりに水道水で練習しても結構ですが、きれいな水は緩衝性がないので発色するまで数10秒ほど時間のかかることがあります。
その場合、約1分間後の色で判定するようにしてください。
下水など汚れて濁った水だと瞬間的に発色しますが、汚れが色調に影響するのを防ぐため、pH試験紙の先端部を水面にちょこっと浸して水分だけを吸い上げるようにしてください。
[ 2] 人尿で練習 (尿線カットによるpH検査)
自律神経の測定器が開発された医療分野では、緊張したり興奮したりすると作動する交感神経と、リラックスしてのんびりすると作動する副交感神経のバランスが健康維持に重要とされ、それを説く健康書が書店に並んでいます。
自律神経測定器なるものを私は知りませんが、私なりに見出した自律神経識別があります。
それは、私個人の体験ですが、試作中の特許pHスティックで自分の尿pHの変化を追っていたとき、糖尿病で死ぬ家系の私の尿が常に酸性であり、名人の落語を聞いて大笑いしたあとはアルカリ性の尿が出ることを確認しました。
つまり、交感神経が活発に働くと尿が酸性になり、副交感神経が作動するとアルカリ性の尿が出ますので、病院で自律神経を測定してもらわなくても、ご自分やご家族の尿のpHをチェックすることにより、ある程度の現状くらいは自分で把握できるのではないかと思われます。
また、事実かどうか私は確認しておりませんが、乳がん・卵巣がん・子宮がんの患者さんたちの尿はアルカリ性だそうです。
もしかすると、ご愛犬ご愛猫の尿にストラバイトを出させてしまった原因が飼い方や環境にあり、それがそっくり飼い主様の発癌に影響しているのかもしれません。
それが事実かどうか定かではないものの、念のためご愛犬ご愛猫の尿だけでなく、ご自分の尿のpHもチェックなさっては如何でしょうか?
なお、尿検査というと尿を入れる紙コップなどの容器が付き物です。
しかし、特許pHスティックによる「尿線カット法」では紙コップがいりません。
ただし、特許pHスティックは水に溶けないので、トイレへ行くときはティシューを用意し、使用済みのスティックを紙にくるんで可燃ゴミとして捨ててください。
排尿中の尿をpH試験紙の上にジャージャー引っかけ続けると、濾紙に染み込ませてあるpH指示薬が溶けて流出し、発色したpH試験紙が白っぽく色褪せて判定不能になります。
そうなったら新品スティックでやりなおさなければなりません。
pH指示薬の流出しすぎを防ぐため、尿をスティック先端のpH試験紙に引っかけるのではなく、排尿中の尿線をpH試験紙で切るように横切らせ、新鮮な尿をpH試験紙へ瞬間的に接触させるわけです(これが尿線カットです)。
尿線をカットによってpH試験紙が尿に濡れた瞬間、鮮やかな色に発色しますので直ちに色を見てください。その色と添付してある専用比色表の0.2段階ごとの色調を見比べることを比色判定といいます。
尿線カットでスティック先端のpH試験紙に尿が接触しなくても落胆しないでください。
たいてい、スティックに尿滴が付着しているので、それをpH試験紙に吸い取らせれば良いのです。
スティックの尿滴が大粒でpH試験紙に吸い取れずpH試験紙の上に盛り上がってしまっても、尿の色はほぼ透明なので判定の邪魔になりません。
スティックに付着した尿滴はpH試験紙に吸い取らせる
また、pH試験紙の上に盛り上がった尿滴をそのままにしておいたほうがpH指示薬の流出を防ぐので、きれいに発色し、乾燥遅延効果もさらに延長されます。
ただし、尿滴が大きすぎると、スティックの先からポタッと垂れることがあります。
それが嫌なら、スティックの先を下に向けず水平に持てば、尿滴を落とさないで済みます。
でも、一滴くらいの落下なら発色に影響しないので余り神経質になる必要はありません。
排尿中の尿線カットのタイミングについては、特にこだわる必要がありません。
尿の出始め、排尿途中、終了間際の三点で比較してみたところ、ほとんどpH値に変化はなく、たまに差があっても0.2段階程度の僅かな違いにすぎないことが確認されてます。
ただし、雄イヌや雄ネコのペニスの先が汚れている場合が多いので、気休めかもしれませんが、一応、尿の出始めの数滴は外した方が無難ではなかろうかと思われます。
また、pH試験紙が尿で濡れたとたん、パッと瞬間的に発色した色調が濃く輝いて見えることがあります。
たぶんpH指示薬が激しく化学反応を起こしているせいだろうと推察されます。
そんなときは、1拍(1呼吸)ほどの間をおいてから見れば色調が落ち着いていますので、この色でpH値を判定するようにしてください。
なお、尿線が目に見えるヒトや大部分の雄イヌと違い、足の短い犬種や、しゃがんで排尿する習性の雌イヌとネコの場合、尿線が見えにくいためpH試験紙に尿を命中させるのは困難かもしれません。
その場合は、動物が排尿姿勢をとったら、すかさず股間にpHスティックを差し入れ、スティックの柄に尿が引っかかった感触を指に感じてください。
感じたら素早くスティックを引っ込め、柄に付着した尿滴をpH試験紙に吸い取らせます。
すなわち、スティックの柄に尿滴を付着させ、上図のようにスティックを斜めに支えながら、スティックの尻を指で軽く叩いてやります。
すると、尿滴がスティックを滑り落ちてpH試験紙の裏に尿の水溜りを形成します。
尻を叩くのが面倒なら、スティックをそっと軽く振り下げて、うまく尿滴がpH試験紙のところで止まるように加減してください。
大量の尿がスティックに載っているときでも、中性白紙の後端が段差となってストッパーの役割を果たしますので、尿塊が一挙にスティックを伝い落ちることを防いでくれます。
でも、あんまり強く振りすぎると、尿滴がスティックの先端から落下してしまうので要注意です。