2019/05/20 12:33

よく混同されがちですが、pH試験紙とリトマス試験紙は、全く別のものです。
小・中学校などで理科の実験に使ったことがおありのリトマス試験紙は、調べたい液体がpH6.9以下の酸性とpH7.1以上のアルカリ性を判定するだけのもので、pH試験紙のように細かいpH値を測定することはできません。

液に濡れて発色したpH試験紙を比色表の横に並べてpH値を判定するとき、先入観や期待感を持たず虚心坦懐、遠目でチラッと見比べて直感的に判定するのが大切なコツです(スティック先端の糊しろ約1mmの色は無視してください)
比色検査を体験したことがない文科系の方々、特に色彩感覚の優れた美術系の人ほど、比色表との完全一致を求めがちですが、それはムダな努力です。
何故なら、検査した尿がたとえばpH6.9であるとき、比色表のpH6.8の色ともpH7.0の色とも一致しないからです。
もっと言えば精密な測定ができる電極式pHメーターによれば、pH6.87とかpH7.05などの液かもしれないのに、0.2段階で示すpH試験紙ではpH6.8ともpH7.0の色に一致しません。
だから、比色表の色と同じでなくても似ている色を選んで、エイッヤッとばかりpH6.8かpH7.0かのどっちかに決めていただくしかないのです。
それ故、一致しないあいまいな色をpH6.9とかpH7.1などと奇数値のデータを出さないでください。
また、検査する液体の色の濃い薄いが発色した色調に微妙な影響を及ぼします(たとえばビタミン剤を飲んでオレンジ色を帯びた尿など)。
さらに、液との接触時間によりpH指示薬の溶出量がマチマチになると、発色した色調に濃淡が生じるのを避けられません。
しかも、人間の視覚は光線の当り具合(日向・日陰、晴れ曇り)や光線の種類(太陽光、蛍光灯・電球の違いとW数)によっても微妙に影響されます。
こんなにも複雑ですので、どうか比色表の色との完全一致を求めないようにしてください(精度重視なら
電極式pHメーターを使用)。
目を離して見比べつつ、まあ大体この辺だろうと判定することに不信を抱かれるかもしれません。
でも、それで充分なんです。それが昔からpH試験紙の限界なんです。
そんな大雑把で頼りないpH試験紙だって、ちゃんと役にたちます。

なお、特許pHスティックに採用したpH試験紙はアドバンテック社の製品No.20で、pH指示薬のメチルレッドMR(測定可能範囲:pH5.07.0)とブロムチモールブルーBTBpH6.28.0)とを混合して濾紙に染み込ませたものです。
2薬を混合することに若干の無理があるらしく、比色表におけるpH6.8の色調とpH7.0の色調とがやや不連続なのが気になります。
しかし、2薬混合のメリットの大きさに比べたら、この程度の欠点は微々たるものだとご理解ください。
たとえば、散歩中にご愛犬が排尿姿勢を示したとき、とっさに2種類のpH試験紙を取り出すのは困難です。かといって、あらかじめ2種類のpH試験紙を手に持ちながら犬と歩くのは面倒です。
そして、排尿中の尿線に2枚のpH試験紙を同時に接触させたり、あるいは1枚ずつ続けて接触させるのは、不可能でないにせよ決して簡単なことじゃありません。

市販されている従来のpH試験紙に添付の比色表をコピーすれば、そのままpHスティックによるpHチェックにも使えるのではないかと思われるかもしれませんが、どっこい、そんな訳には参りません。
この特許pHスティックではスティック先端の中性白色紙にpH試験紙を部分的に貼ることによって、
白いハンカチなどを背景とする従来の方法では経験できないほど鮮やかな色に発色して見えます。
その鮮明な色調を正しく紙へ印刷するために、私が納得できる色になるまで全力を傾注いたしました。
苦心した比色表を有料(税別1300円)とさせていただいておりますので、何卒、ご了承願います。
初回用スティックに添付の比色表が汚れたときは新品をお買い求め願いいます。
では、pH検査が初めての方は、正しい色の出し方と見方を練習してみましょう。

pHスティック先端に貼られたpH試験紙(右)の色と比色表(左)とを見比べてpH値を判定する
(上の比色表の色は正しくないのでコピーしないでください)

pH試験紙と比色表を見比べる