2019/05/16 10:42
「特許pHスティック」とは 2002/09/20 特許 第3351518号
尿などの透明な液体に濡れて発色したpH試験紙が乾燥するのを遅らせ、空中に放置しても10分間ほどは変色しないように工夫してあります。このため、pH試験紙による尿検査が初めての飼い主様でも慌てずに落ち着いて比色判定ができるので、ご愛犬やご愛猫の尿のpH値を簡単かつ確実にご自分でチェックしていただけます。
pH試験紙は、真っ白な濾紙にpH指示薬を染み込ませて乾燥させたものです。
pH指示薬に化学反応を起こして発色させるには、検査する液体を濾紙に染み込ませなければなりません。この点、濾紙は非常に吸水性が優れているので、検査対象液に濾紙を接触させたとたん、ほとんど瞬間的にpH指示薬が反応して鮮やかに発色します。
ところが、濾紙の吸水性がよいということは、同時に水分の蒸発が急激に進んで乾燥しやすいというわけで、pH試験紙の大欠点ということにもなります。
すなわち、検査対象液に濡れた濾紙が乾燥するのに伴い、鮮やかな色に発色したpH指示薬の色調がみるみるうちに変化し、たちまち白っぽく褪色してしまいます。息を吹きかけるだけで変色が進み、もはや比色表と並べて比色判定することができなくなります。
このような宿命的ともいえる大欠点があるため、pH試験紙を使って測定するときは、指の汗が影響しないようにピンセットでpH試験紙をつまみ、検査対象液に接触させるやいなや、即座に白い紙やハンカチなどの白色背景にかざして比色表と見比べながらパッと素早く判定を終えてしまわなければならず、検査技術に熟達したプロでなければpH試験紙を使いこなせなかったのです。
そのため、動物病院の通常検査では、0..2刻みのpH試験紙による比色判定を避け、たいてい0.5刻みや1.0刻みの大雑把な判定で済ませているのが実情でした。だから、学校の理科実験ではpH試験紙が採用されず、酸性液とアルカリ性液を識別するだけの簡便で安価なリトマス試験紙でお茶を濁してきたのかもしれません。
なお、主観的でアバウト(大雑把)なpH試験紙による比色判定法を嫌う研究者たちは、電極によって0.01レベルの細かな単位で測定できる精密なpH測定器を使用しています。
しかし、使用前に欠かせないゼロ点調整や使用後の蒸留水による洗浄などの管理が非常に厄介なので飼い主様にはお勧めできません。
この点、0.2刻みで測定できるアドバンテック社製No.20のpH試験紙を使用した「特許pHスティック」なら、ヒトはもちろん、勢いよく排尿するご愛犬やご愛猫などの尿線に軽く接触(尿線カット)させることによって、排尿中の新鮮な尿のpH値をどなたでもご自分で簡単かつ確実に測定できます。
「特許pHスティック」の初回用製品には、必ず範囲pH5.0~8.0を0.2刻みで示した16色の比色表を添付してありますので、スティック先端のpH試験紙で排尿中の尿線をカットし尿に濡れて発色したpH試験紙を比色表に並べて近い色調を探してください。それがご愛犬・ご愛猫の尿のpH値となります。
特許pHスティック専用の比色表と見比べてpH値を判定する。
(著作権登録済みです。初回用製品に添付されてます)
「特許pHスティック」の構造は簡単で、液体に濡れてもグニャリと曲がらないようにスティックの柄には非吸水性(準撥水性)の厚紙を用い、スティックの先端に撥水性の中性白紙を貼り、白紙の上に有名化学メーカーであるアドバンテック社製のpH試験紙(No.20)を部分的に貼ってあります。(この貼り方が世界最初のアイデアで特許になりました)
特許pHスティックの構造
特許庁の審査官が世界最初のユニークなアイデアだと認定したところは何かというと、液体で濡れたpH試験紙をなるべく乾燥させないように工夫したことです。濾紙の乾燥を防ぐことは不可能だとしても、少しでも乾燥するのを防いで乾燥進行に伴う褪色の勢いを遅らせるようにする。つまり、濡れた濾紙の乾燥遅延手段がアイデアのポイントです。
それを実現させるには、何をどうしたらよいか。ピン!と頭にひらめいたアイデアが水溜まりでした。
濡れた紙を空中に吊るし、風に当ててヒラヒラさせれば乾燥が速い。それに対し、水溜りに浮かんだ紙は、ずっと濡れた状態のままで乾燥しない。だからといって、pH試験紙を液に漬けっぱなしにしていたら、pH指示薬が液の中に溶出して発色不良となり比色判定の役に立たなくなる。
しからば、どうしたら良いか? それには、水溜りの代わりになる「隙間」を作れば解決できるはずだ!
1は白いハンカチ代わりの中性白紙であり、隙間4の底にもなります。
2は中性白紙1の先端部に設けた幅約1mmの糊代(のりしろ)です。
3は糊代2に貼り付けたpH試験紙(アドバンテック社製No.20)です。
4はpH試験紙を中性白紙の先端に部分的に貼って形成した隙間で、ここに尿が貯まります。
このpH試験紙の貼り方が世界で初めてのユニークなアイデアとして特許されました。
すなわち、pH試験紙③全体をベッタリと中性白紙①の上に貼り付けるのではなく、細い糊代②を設けて部分的に貼ってあります。こうすることにより、pH試験紙③と中性白紙①との間に薄い隙間④が形成されます。この隙間に尿が貯まり、あたかもpH試験紙が尿に浮いているような状態なります。しかも、「隙間」に溜まった微量の尿に溶出したpH指示薬は濾紙からこぼれ落ちず、pH値を狂わせないのではなかろうか、と思いつきました。
このため、pH試験紙③から溶出したpH指示薬を隙間④にとどめたまま、発色したpH試験紙③はなかなか乾燥しなくなります。その結果、pH試験紙の乾燥に伴う褪色現象の開始が著しく遅延されます。
そのおかげで、初めて検査する人でも、慌てず落ち着いて比色表の色と見比べて正確にpH値を判定することができるようになります。それだから特許だ、というわけです。
獣医師Dr.中島健次発明、2000年10月10日特許出願、2002年9月20日特許(特許第3351518号)
では、どのくらい褪色開始を遅らせることができるかというと、そのときの気温や湿度、屋外か室内かの違い、屋外ならば風の吹き具合などによって大きく左右されますが、おおよそのところ10数分間くらいなら絶対に大丈夫です(無風の室内では1時間以上も有効)。 しかし、なるべく3分間以内に比色判定を済ませてください。
実際には、不慣れな初心者でも判定に1分間以上かかるということはないので。 3分間でも長すぎるほど充分な余裕です。
上記のとおり、従来のpH試験紙単独による比色判定では、検査のベテランでさえ秒単位で大急ぎに済まさねばならなかったのだから、3分間の余裕は画期的な技術改革と申しても過言ではありません。
私が自分で実験して効果を確信できたので、自信を持って製品を作り販売を始めました。
製品はスティックの長さが95mmの短いR型(レギュラータイプ)と、スティックの長さが190mmの長いL型(ロングタイプ)の2タイプで、それぞれに比色表付きの初回用と比色表なしの詰替用計4種類です。
特許pHスティックの製品は2タイプあります⤴⤴